お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
越したばかりと修矢は言っていたが、ソファセットやキャビネットなどの家具はだいたい揃っている。それもひと目で高級ブランドだとわかる上質なものだ。
修矢は部屋の片隅にキャリーバッグをひとまず置き、千花を案内し始めた。
広いリビングの左手にはアイランドキッチンとダイニング。ワインレッドで統一され、使い勝手がよさそう。
その奥には白で統一されたパウダールームとバスルームがあり、テレビまで完備されている。
「寝室はこっちだ」
修矢に指先で呼ばれ、リビングの右側にある緩やかな螺旋階段を上がっていく。中央に存在感たっぷりに鎮座するキングサイズのベッドを見て、千花の鼓動がドクンと跳ねる。
(……まさか今日からここで一緒に寝るなんて言わないよね?)
恐る恐る修矢を見ると、タイミング悪く目が合ってしまった。
「その怯えたような目は?」
「あ、いえ、その……」
妖しく細められた目でじっと見つめられ、逃げ場に惑う。きっと千花の考えていることはお見通しなのだろう。