お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
なんと言ったらいいのかわからず千花がおろおろしていると、修矢はフフンと鼻を鳴らした。
「妄想が逞しいな」
「ち、ちがっ! べつに変なことなんて考えていませんからっ」
そう言っている時点でバレバレだろう。
修矢がからかうようにニヤリと笑う。それを見ないふりで千花が続ける。
「念のために確認ですけど、結婚までは別々に寝るんですよね?」
恋人同士の期間があれば気にするところではないが、なにしろ出会って数日。結婚することを決めたとはいえ、心の準備がまったく整っていない。
「この部屋の下にもベッドは用意してある」
「そ、そうですよね」
大きく息を吐き出しながら、千花が心の中で胸を撫で下ろす。
(よかった……。取り越し苦労だったみたい)
「千花が一緒のほうがいいって言うなら、俺はそれでもかまわないけど」