自己流恋愛組曲
「あきら・・・?」
あきらはいた。
死んだ人間が横たわるベッドの上に。
「うそだよね?
ほら、顔の上にハンカチなんてかけてたら
息できなくなっちゃうよ?もう、ドジだなぁ・・・」
「香奈ちゃん?」
呼ばれた声に反応して振り返った。
「あ、おばさん!
聞いてくださいよおー、あきらがまたからかうんですよー」
「・・・・香奈ちゃん」
あきらのお母さんは悲しそうに俯いた。
「もー、ほんとはただのかすり傷なんでしょ?
・・・・ねえ、ほんとに死んだ人みたいだよ?」
「香奈ちゃん!」
腕を掴れてびくりとした。
おばさんを見るとまるで可哀想な人を見るように
私を見ていて、
「香奈ちゃん、あきらはね、」
「あきら、学校いこーよ。みんな待ってるって」
ねえ・・・・
ねえ、あきら本当に君は・・・・
「早く一緒にがっこ、う・・・に・・・」
「あきらはもういないのよ」
死んじゃったの?