年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
(でも、自分の何処をどう変えれば、役に立てるのかが分からない……)


こんな感じでこれから先も一緒に居たいと言ってもいいのかな。
輝の迷惑になるだけじゃないのかな。


歩きながら無言でいた所為だろう。
気づくと彼が足を止め、じっと私の方を窺っていた。


「…あっ、何?」


しまった…と思いつつ声をかけると、輝が「いや」と言いながら歩き出す。
その背中を見遣りながら自分も歩き始め、ぎゅっと握られている手に力が加わっていくのを覚えた。



「望美……話があるんだ」


畏まった声を聞いて胸が鳴る。
目線を見上げると、振り向いた輝の顔が強張っていた。


ドキン…と嫌な予感が走る。

彼は私から視線を離すと指を差し、立ち話もなんだからカフェに入ろう…と言って向かいだした。


背中を追って間もなく、目の中に飛び込んでくるカフェのチェーン店。
BARでなくカフェで…というのもなんだか凄く緊張する。


(お酒を飲みながら話すようなことじゃないって意味だよね。何だろ。怖いんだけど…)


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