年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
打ち明けられた孤独と求める愛情
「……郁君から教えて貰ったんだ。地方に引っ越すっていう話は嘘なんだろ」


見下ろす輝が落ち着いた声で訊いてくる。
私は口を出せずに彼を見つめ、首を縦にも横にも振れなかった。


「家を売るって話もまだ決まってないんだろ。借金は確かにあるみたいだけど、完済の見込みもつきそうだと言っていたよ」


困った顔で微笑む彼を見つめたまま頭の中が混乱してくる。金曜日に咄嗟の思いつきで吐いた嘘が、あっさりと暴かれてしまうなんて__。


(どうして?何で?)


何処で聞いたの…と思うが、それを聞き出す前に輝の表情が曇った。


「それと、あいつからも何か言われたんだろ。借金を援助する代わりに、俺と別れろとでも迫られたのか?」


厳しい顔つきで訊ねる輝は、昨日あいつに会い、全てを聞き出した…と説明した。


「あいつ、汚い手口で望美に別れを迫ったんだろうな。あの男なら、やり出しそうな事だよ」


ムカつく…とこぼす声を聞きながら目線を外す。
確かにそうだけれど、それだけじゃない…とは、私の口からは言えない。



「望美…」


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