年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。

お互いの立場と話せない事情

輝から連絡があったのは、韓国へ出発してから三日後の夜のことだ。
二泊三日のハードスケジュールをこなし、『今帰った』と文字が流れてきた。


私は逸る気持ちを抑えながら『お帰りなさい』と文字を送り返す。
今直ぐにでも会いたい様な心境だったけど、流石にこの時間からは無理だろう。


（夜の十時過ぎなんて遅いよ。輝も疲れているだろうし、『会いたい』なんて送れない）


我が儘を言ってはダメだと思い、『ゆっくり休んでね』と文字を送る。
本当は彼を抱き締めて、その疲れをじんわりと癒してあげたいくらいの心境なんだけど。



『…うん、おやすみ』


少しの間を置いて輝からの返事が戻る。
それを見つめながら、枯れてるなぁ…と呟き、疲れてるんだろうから仕方ない…と諦めた。


『おやすみなさい。輝』


彼がエリートで忙しくなければ、私はいつでも会えるのに。
会ってぎゅっと彼を抱き締めて、「お疲れ様」くらい言ってあげたいのに。