年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
エレベーターで一階へ降りロビーにいるはずの輝を探していると、日差しの差し込むソファで、長い足を組みながら新聞を読み耽っている彼の姿が目に入ってきた。


輝の今日の服装は、ネイビーのタートルセーターとホワイトのパンツ。
上から黒のジャケットを羽織っているだけなのに、どこか様になって見えるから不思議だ。


その上、ハーフかクォーターっぽい顔立ちと髪色のせいで注目度も高く、周りに腰掛けている人達が、チラチラと彼を見遣りながら会話をしているから近寄り難い。


多分あそこへ私みたいな純和風な女子が行くと、『どうして貴女!?』と思われてしまいそうで気後れがしてしまう。


でも、行かないで見ているだけでは彼が朝食を食べれない。
それでなくても待たせてしまっているんだから、早く行ってあげないと__。


意を決して足を前に踏み出した。でも、直ぐに足は止まり、呆然と目の前に見える光景を眺めた。


新聞を読んでいる輝の側に女性が来て、赤い唇がニコッと微笑み、「おはようございます」と声をかけたように見えたんだ。


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