年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
「うん、たまには日本で過ごす正月もいいかなと思ってね。近場だし、温泉もあるからあったかいよ」


しかも部屋には露店風呂が付いてるんだ、とセールスポイントを上げる。
私はそれを聞きながら「へぇー」と驚き、それは素敵ね、と笑った。


「夜はたっぷり可愛がってやるから」


ニヤケながら話す彼の顔を見ながら「もうっ!」と頬を膨らます。
ここでガッカリする姿なんて見せれない、と思いながら、何とか穏やかな気持ちを振り絞って食事を平らげた。



「…さて、今夜なんだけど」


ホテルのbarでお酒を一杯飲み、これからの予定を決めようとするが、残念ながら明日は彼は仕事で、韓国に行くことが早くから決まっている。


「いいよ、今日はもう帰ろう」


明日は早いんでしょ、と物分かりのいい顔をすると、彼は少しホッとした。


「そう。ごめんな」

「いいよ、仕方ないから」


今夜も忙しいのに時間作ってくれてありがとう、とお礼を言う。
彼は私に申し訳ない様な眼差しを向け、唇に軽いキスを落とした。


「今日の埋め合わせは正月にするから」


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