年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
理由が分かってホッとする反面、一体何があったの?と心配になる。
彼の仕事のことに口を出すのはタブーだと思いつつも、『大丈夫?』と文字の一つでも送ってあげたいような気分だ。
落ち着かなくてジリジリとしながら午後の仕事を済ませ、何とか定時でオフィスを出た私だったけれど……。
「あの…失礼ですが、小島望美様…ですか?」
戸外でスマホを取り出し、今からタップしようとしているところだった。
急に後ろから声を掛けられ、ドキッと胸を弾ませて振り返った。
(えっ?誰…?)
後ろには、黒いロングコートを着た中年層の男性が立っていた。
襟元には濃いグレーのマフラーを入れ込み、髪の毛はそのマフラーよりも若干淡い色合いのグレーで、前髪から全部、後ろの方へと流してあった。
「急にお声を掛けてしまい、申し訳ありません。初めまして。私はこういう者です」
左手をポケットから取り出し、その手に握られていた紙を手渡される。
私は渡された名刺サイズの紙と相手の顔とを見比べ、ふわっと微笑む相手の顔を確認してから文字を目で追った。
彼の仕事のことに口を出すのはタブーだと思いつつも、『大丈夫?』と文字の一つでも送ってあげたいような気分だ。
落ち着かなくてジリジリとしながら午後の仕事を済ませ、何とか定時でオフィスを出た私だったけれど……。
「あの…失礼ですが、小島望美様…ですか?」
戸外でスマホを取り出し、今からタップしようとしているところだった。
急に後ろから声を掛けられ、ドキッと胸を弾ませて振り返った。
(えっ?誰…?)
後ろには、黒いロングコートを着た中年層の男性が立っていた。
襟元には濃いグレーのマフラーを入れ込み、髪の毛はそのマフラーよりも若干淡い色合いのグレーで、前髪から全部、後ろの方へと流してあった。
「急にお声を掛けてしまい、申し訳ありません。初めまして。私はこういう者です」
左手をポケットから取り出し、その手に握られていた紙を手渡される。
私は渡された名刺サイズの紙と相手の顔とを見比べ、ふわっと微笑む相手の顔を確認してから文字を目で追った。