年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
その代わり、輝とは今後付き合いをやめて頂く。どうしても嫌だと言われるのなら、影の存在として、輝の結婚成立後に相手にはバレない形での交際を続ければよろしい。
……しかし、その場合、貴女への慰謝料も家計の援助も致しません。そして、貴女のことが原因で、もしも結婚が破談となれば、こちらはそれなりの請求をさせてもらうこともあるかもしれない。
……そのどちらを選ばれてもいいとは思いますよ。ただ私は、貴女を聡明な方だと信じていますから、いろいろと悩まれたとしても、最後は決して、間違った判断を下すような人ではない筈だと確信しております」


キリッとした目元で私の顔を凝視する。
全く隙のない視線で睨まれ、思わずゴクンと唾を飲み込んだ。


「……決心が着いたら私の秘書の携帯に連絡を入れて下さい。詳しいことについては、貴女の気持ちを聞いてからにしたいと思います」


言いたいことを言い続けた相手は微笑み、カップに残った紅茶を飲み干してから立ち上がった。



「……良い返事があることを願っていますよ」


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