年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
「それでなくても貴女達はお互いに顔を合わせるチャンスも少なそうだから、コミュニケーション不足になって、言いたいことも言えない間柄になっちゃうわよ」


鋭く突っ込まれて言い返す言葉も見つからない。
だからと言って肯定するのも嫌な気分で、だけど、何も言わずにいたのでは相手にも失礼だと思えて__。


「そうですね。気をつけます…」


あまり気をつける風でもない感じで答えると、今井さんは呆れた顔つきで肩を落とす。
私はその姿を目線から外し、明日の夜、輝になんて説明をしようかと考えだした。


先ず、最初に話すべきことは何なのか。
優先順位として、どれを先に言えば正しいのか。

それから、彼が私に言いたいことは何なのか。
それを聞いてからの方がいいのか、自分の思いを先に伝えればいいのか。


悩む時間ばかりが増えても答えはまるで纏まらない。
そのうち頭の芯がぼんやりしてきて、全て放り出してしまいとさえ感じてくる__。


(ああ、もう本当に!)


自分にも苛立つ。
私はただ、輝が好きだってだけでは駄目なの!?


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