3秒後、きみと恋がはじまる。
「あっ!茜くん……」
魔法にかかったみたいに、茜くんに恋に落ちたあの日から。
いろんなことが、本当に、結構いろんなことがあって。
冷たくあしらわれたり、面倒くさそうに適当な返事をされたり、嫌な顔されたり。
…それから、いつも助けてくれたり、これは私の妄想なのかもしれないけれど、郁人くんにヤキモチやいてくれたり。
毎日毎日、会わない日だって茜くんへの「好き」は積もって、どんどん世界がピンクに色づいていく。
そんなある日の放課後。
茜くんに会いに行こうと特進科に向かうと、ちょうど帰るところだったのか、階段を降りてきた茜くんとばったり会って。
それだけで心がふわりと弾んで、幸せな気分になった、のに。
「…と、雪音ちゃん…」
茜くんの隣には、黒髪ボブの美少女がいて。
いつもは、要くんたちも一緒なのに。
それなのに今日は、ふたりきりで。
今度は心臓がひりひり痛んだ。