3秒後、きみと恋がはじまる。



「歩けるの」

「え、あ、うん」

「肩、掴んでいいよ」

「えっ、だ、大丈夫…!」




怒ってるのかな、とか。
呆れてるのかな、とか思ってたから。

ぶっきらぼうな声とは裏腹に優しい茜くんに、どうしていいかわからなくなってしまう。


ゆっくり歩き出した茜くんに、ぴょこぴょことついて行くと、眉をひそめて振り返った茜くん。


「ご、ごめ…遅いよね!
急いでるんだったら先に帰ってても…」


「急いでねーよ。
ほら、歩きづらいんだったら掴まれ」


強引に私の手を自分の肩に持っていく茜くん。


茜くんの肩は、見た目よりもずっと筋肉が付いていて、男の子って感じで。

薄いワイシャツの向こうには、茜くんの体温を感じて。


……ドキドキ、する。




「もっとちゃんと掴んで」



緊張して軽くつかまっていたら、そう言って睨まれたので、「失礼します…」とつかまらせてもらった。


あ、本当だ、歩きやすい…。


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