3秒後、きみと恋がはじまる。



「で、どこ行きたいんだよ」




こっちを見ないまま、でも私の歩幅に合わせて、ゆっくり歩きながら。

茜くんがそう言うから、首をかしげる。




「どこ、って?」



「デートだよ。忘れたの?」



「えっ……だって。私、優勝してない…」




眉をひそめて、不機嫌な顔をする茜くん。




「行きたいの、行きたくないの」


「い、行きたいです!」


「…明日までにどこ行きたいか決めとけよ」


「ほ、本当にいいの…?」



なんで、だって、私優勝できなかったのに。

茜くん、呆れてるんだと思ってたのに。


ていうか茜くん、デートなんて絶対したくないと思ってたのに…。





「瀬川からさっきメッセージ来て、聞いた」




…あ、なんだ、そういうこと。
可哀想だから、って。



「あ…でも、本当に私のせいだから。
同情してるなら、いいよ。気にしないで。

負けたのは私だし…」





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