3秒後、きみと恋がはじまる。


そんな幸先のいいスタートを切って、駅から花火大会の会場である河原に向かう。


茜くんが私の隣を歩いていることが嬉しくて、学校と、通学路以外で茜くんに会えることが幸せで。

私は緩む頬を必死にこらえながら、茜くんに置いていかれないように歩いた。

浴衣って歩きにくいんだな…。




あまり大きな歩幅で歩けない浴衣も、鼻緒でしか支えられていない下駄も、普段は使わないから歩くのが大変だ。


でも、この人混みで迷子になったら絶対に茜くんに再会できない気がする!



そう思って一生懸命早足で追いかけていたら、それに気付いたらしい茜くんが、何も言わずに歩幅をゆっくりにしてくれて。



そんなさりげない優しさがやっぱり大好きで、私、どうしたって、茜くんを独り占めしたいって、思っちゃってるよ……。




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