3秒後、きみと恋がはじまる。
「俺たこ焼き買うけどいる?」
意外と屋台を楽しんでいるらしい茜くんに「大丈夫」と首を振る。
もっとつまらないそうな顔されたらどうしようかと思ったけれど、良かったぁ…。
茜くんが買って来たたこ焼きの、ソースのいい匂いが鼻をくすぐる。うーん、お腹すいて来た…。
でもだめ!
さっきまで読み漁っていたデートの恋愛コラムで、『彼の前では小食なふりをしよう!』とか、『歯に青のりが付いてて幻滅しました(大学生・男子)』とかいう記事を読んでしまったから、絶対に失敗はできない。
「1個いる?」
うっ……でもこれは茜くんと間接キスのチャンス。
とか考えてる自分は本当に気持ち悪いけれど、でも、逃すわけには……。
「ひ、ひとつだけ!」
「ん」
茜くんの使っていた割り箸を貸してくれるのかと思ったら、袋の中に入っていたもう1つの、未開封割り箸を渡された。