3秒後、きみと恋がはじまる。



ピンクのハート型の花火とか。
スマイルマークの花火とか。

それから眩しすぎるくらい明るい、大きな花火とか。


見とれているうちに花火大会は終わって、周りの人たちが帰り支度を始めて。

もう終わりなのか…って、寂しくなった。



「茜く……」


もうちょっと、一緒に居たいって。
言おうか迷っていた時。



「あれ、有村くんじゃない?」


聞きなれた声に目を向ければ、浴衣姿の雪音ちゃんがいた。

雪音ちゃんの隣には、特進科のみんな。
…もしかして、茜くんも今日誘われてた?




「瀬川たちもこの辺にいたの」

「そうだよ。有村くん、誘っても来ないから人混みが嫌いなのかと思ったら、桃ちゃんとデートだったんだ」



少し悲しそうな雪音ちゃんの表情に、私のことをちらりと見る鋭い視線に、なんだか嫌な予感がした。



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