3秒後、きみと恋がはじまる。


「瀬川、茜が来なくて寂しがってたよなー」
「や、やめてよ!そんなことないってば」


クラスメイトの男の子とそんな会話をする雪音ちゃんに、胸がチクンと痛む。
雪音ちゃんって、やっぱり…。




「そ、そういえば明日からまた夏期講習だね!
前回からの休みが3日しかないの、厳しいよね」

「確かにね」


塾の話をする、茜くんと雪音ちゃん。


「そういえば2人とも同じ塾行ってるんだっけ?
俺もそろそろ通いたいんだけどどう?そこ」

「結構いいよ!先生わかりやすいし」



特進科のみんなの会話についていけなくて、手元にまだ残っていたりんご飴の最後のひとくちを食べた。


……酸っぱい。



りんご飴の最後の部分は、もう甘くないリンゴで。
なんだか酸っぱいそれは、私の舌の上で、溶けずにいつまでも残っていた。



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