3秒後、きみと恋がはじまる。



「って、ごめんね、お邪魔して!
桃ちゃんまたね!有村くんはまた明日」

「おー」



茜くんって、雪音ちゃんの前ではこんな風に笑うんだ。

雪音ちゃんには、私の時みたいに面倒くさそうな顔しないんだ。



……それなのに、みんなとの約束断って、私と花火大会に来てくれたの?


ただ、私の方が先に約束してただけかもしれない。

私といるより絶対、特進科のみんなといる方が楽しいんだろう。


私は勉強の話とか分からないし、茜くんのこと呆れさせることしかできないし。

なんだか、みじめだ。



「おい、どうした?」

「…ごめんね、私と約束してたから、雪音ちゃんたちと来られなくて……。今からでも一緒に帰っても…」



いいよ、って、言おうとした瞬間。


ぐー、と私のお腹が大きな音を立てて鳴った。


「っ……!」



恥ずかしさのあまり顔が熱くなる私と、驚いたように私を見る茜くん。消えたい……!



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