3秒後、きみと恋がはじまる。


「ふ……ははっ」


茜くんは、堪え切れない、って顔をして、体を捩って笑っている。茜くんがこんなに笑ってる顔、初めて見たよ…。


「何か食べるか」


ひとしきり笑った後、茜くんはまだやっている屋台の方へ歩き出した。私も慌てて追いかける。


食べ過ぎて引かれないようにしようと思ってたのに、これじゃあ逆に食いしん坊キャラになっちゃうよ…。




「何がいい?」



でも、まあいいか。

もうこれ以上、可愛い子ぶるのも無理みたいだし。
何より茜くんが、笑ってくれたから。

それだけで十分だ。



「焼きそば!」



こうして念願の焼きそばを幸せそうに頬張る私を、茜くんは優しい顔をして見ていてくれた。


なんか、寂しい気持ちになってたのも忘れちゃったなぁ。


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