3秒後、きみと恋がはじまる。
「郁人くん、クラスの方いなくていいの?」
「クラスはいつも一緒じゃん?
俺はもっと桃ちゃんと仲良くなりたいのー」
さ、さすがチャラ男だ…。
気を緩めるとときめいてしまいそうな心に蓋をして、へらりと笑った。
「郁人〜、今日の夜うちらの部屋来てよ」
「えー、私の方来てよぉ」
「みんなで肝試しとかしようよ」
「「えー、楽しみ〜〜!」」
私に絡みながら、他の女の子たちとそんな会話をしている郁人くん。
女子の目が怖いからもう少し離れてほしい…!
「…あ、あれ特進科じゃない?」
誰かのそんな言葉に慌ててそっちを振り返ると、バスから降りて来た特進科の人たち。
「茜くん〜〜!」
真っ先に見つけたふわっとした黒髪。
どんなにたくさんいても、真っ先に目に入ってくるんだから不思議だ。
茜くんに思いっきり手を振ると、鬱陶しそうに顔をしかめられた。
「あ、アイス食べてるの?いいなー」
隣にいた要くんに話しかけてもらえて、えへへー、と笑いながら2人に駆け寄る。