3秒後、きみと恋がはじまる。
「茜くん、おはよう」
「ああ」
……茜くんの隣には、当たり前みたいに雪音ちゃんがいる。
それがなんだか悔しくて、そんな自分の汚い心が嫌になる。
雪音ちゃんと茜くんは同じクラスだから。
だからいつも一緒に居られるし、修学旅行だって一日中喋って居られるんだなぁ。
「桃ちゃん、ちょっと話したいことあるんだけど…」
茜くんの横から顔を出した雪音ちゃんにそう言われて、ふたりで茜くんたちから少し離れる。
真剣な雪音ちゃんの表情を見て、私は慌てて溶けそうになっていた抹茶ソフトのコーンを口に詰め込んだ。
「話って?」
「うん、私ね…」
少し迷ってから、言いづらそうに私を見つめる雪音ちゃんに。
彼女の言いたいことが、少しわかってしまった気がした。
「私、有村くんのこと好きになっちゃった」