3秒後、きみと恋がはじまる。
「……うん、そっか」
「桃ちゃんの気持ちも知ってるけど、でも、抑えられないの」
そう、だと思った。
私だって同じ気持ちを抱いているからこそ。
雪音ちゃんの表情で、なんとなく気付いていた。
だからこんなに、茜くんと雪音ちゃんが近付いていくことが怖かったんだろう。
申し訳なさそうに視線を落とす雪音ちゃんに、私はへらりと笑って。
「先に好きになった方が偉いわけじゃないんだから、そんな顔しないでよ!
茜くん格好いいもんね〜、仕方ないよね!
お互い頑張ろうね」
「桃ちゃん……ありがとう!
じゃあ私も、遠慮しないで行くからね」
「え…」
笑う私にホッとしたように、雪音ちゃんは緊張していた表情を緩めて、にっこりと笑った。
な、なんか宣戦布告をされた気がする…。
「…あっ、私そろそろ行かなきゃ。
じゃあ、またね!」
嬉しそうに茜くんたちの元へ戻っていく雪音ちゃんを見送って。
茜くんの隣に並ぶ雪音ちゃんは、幸せそうに笑っていて。
じわりと目に滲んだ涙で、視界がぐにゃりと歪んだ。