3秒後、きみと恋がはじまる。



「あー、えっと、じゃあ元々有村とペアだった人……有村は何番だっけ?5番?5番の女子誰?」




手を挙げた私に、郁人くんは、「マジかぁ」と眉をひそめた。


「有村、いいの?肝試し行かなくて」


「…どっちでもいいよ。連れてこられただけだし」


「そう……じゃあ、桃ちゃんは俺とペアね。
俺まだクジ引いてないから」




……せっかく、茜くんとペアだったのに。

私だって、茜くんがいいのに。


でも、具合が悪いなら仕方ない、よね。

嬉しそうに笑う雪音ちゃんに、ズキン、と胸が痛んだ。



何事もなかったように肝試しは始まった。

旅館の裏にある竹林を通って、1番奥で写真を撮って帰ってくる。
そんなルールで、1組ずつ出発して行く。



「怖いよー」なんていう女の子に、「大丈夫だって」と笑う男の子。

なんだかんだみんないい感じになって帰ってくる。



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