3秒後、きみと恋がはじまる。



悩みすぎて、昨日は眠れなかったし。
眠れなかったせいで、頭はぼーっとするし。

なんか全然、いいことないなぁ。






「…あ、噂をすれば有村くんだよ。
話しかけておいで!」


今日は自由行動で、ユリやスミレ、クラスの友達たちと清水寺に向かう、お店がたくさん並んだ坂を登っている。

そんな時、向こうから降りてくる茜くんたちが見えた。

……自由行動でも、雪音ちゃんたちと一緒なんだ。




他にも女の子はいるけれど、茜くんと雪音ちゃんだけが私の目には入ってきて、見たくなくて視線を落とす。




いつもなら、話しかけられる。

茜くんと話したい気持ちはこんなにあるのに、勇気がない。

あの2人の前で、うまく笑える自信がない。



昨日、肝試しの間、2人は何を話したんだろう。



雪音ちゃんの『最近、櫻木くんと仲良いよね』って言葉を、茜くんはどう思ったんだろう。

…まあ、興味がないっていうのが正解なんだろうけれど。



そんなことをぐるぐる考えているうちに、坂を降りてくる茜くんたちと、登っている私たちの距離はどんどん近付いていた。



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