3秒後、きみと恋がはじまる。



「……さすがにあからさますぎない?」
「いやー、これは桃ちゃんが可哀想…」



一部始終を見ていた友達たちが、走り去っていく茜くんたちを見て呟いた。





「瀬川さんって、やっぱり有村くんのこと好きなの?」
「そりゃそうでしょ…」
「うーん、ライバルが瀬川さんかぁ」




雪音ちゃんは、私に茜くんが好きだと打ち明けてから、すごく積極的になって。

私は茜くんと話すチャンスすら掴めずにいる。



……それに、郁人くんのことも考えなくちゃ。



返事はいらないって言われたけど、「どんなに望みがなくても私は茜くんが好きだから」って、ちゃんと断らなくちゃいけないよね……。




……茜くんと、喋りたいなぁ。


私がくだらない話をして、茜くんが面倒くさそうに「へえ」とか「そう」って、聞いているんだから聞いていないんだから分からないような返事をして。


そんな毎日が、恋しいなぁ。




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