3秒後、きみと恋がはじまる。
「何してんだよ」
怒った顔で睨まれて、「ごめんなさい!」と頭を下げる。
「みんなのこと待ってる間にお土産やさんが気になって、いろんなところ見てたら迷子になっちゃって……スマホの充電も、なくて」
「はぁ……まあ、無事でよかった」
茜くんは、呆れながら。
それでもすごく、安心したように緊張した表情を緩めた。
茜くんは京都駅に戻ろうとして電車に乗る直前に、慌てているユリやスミレたちに会って、事情を聞いたらしい。
茜くんはすぐにスマホを取り出して要くんに電話をかけた。
「ああ、見つかった。うん、みんなは先に京都駅行ってて。そう、普通科の子達も。俺たちはこれから戻るから」
……私、何してるんだろう。
茜くんに、迷惑かけてばっかりじゃないか。
申し訳なくて、自分が情けなくて、涙が出そうになる。
しっかりした子が好きだって、言ってたのに。
私がこんなんだから、茜くんは私のこと好きにならないんだよ。
雪音ちゃんのことを好きになっちゃうんだよ。
私、本当に、何してるんだろう。
何もいいところなんて、ないじゃん……。