3秒後、きみと恋がはじまる。
駅に着くと、ちょうど来ていた電車に飛び乗る。
「これならギリギリ間に合いそうだな」と、茜くんが腕時計を確認しながら言った。
よかった……。
電車の椅子で隣に座ると、思ったよりも茜くんとの距離が近くて。
腕が触れ合っていることに、少し照れくさくなった。
ガタンゴトンと揺れる電車は心地よくて、ちょうどいい気温が眠気を誘う。
『……なんか、ずいぶん久しぶりに喋ったような気がするな。
って、もう寝てるのかよ』
そんな、優しい声が。
ふわふわと揺れる意識の中で、微かに聞こえたような気がした。
だってあの肝試しの時から、私は茜くんと雪音ちゃんのことばかり考えていて。
夜も眠れていないから、実質2日は徹夜状態で。
それなのに迷子になって、疲れていたから。
暖かい電車に揺られていたら、つい意識を手放してしまった。