3秒後、きみと恋がはじまる。
「茜くん!今日も勉強して帰るの?」
「そうだよ」
「たまには一緒にクレープ食べに行かない?」
「行かない」
修学旅行から少し経って、私はめげずに毎日、放課後に茜くんのクラスにお喋りしに来ている。
お喋りというか、私の一方的な話を茜くんが軽くあしらっているだけだけれど。
特進科の茜くんのクラスは、修学旅行が終わってから勉強モードに入っている人が多い。
茜くんの机にも、数学の参考書が置いてある。
……来年は受験生だからといっても、まだ2年生なのにさすがだなぁ。
普通科の私のクラスとは全然雰囲気が違う。
それだけレベルの高い大学を目指しているということなんだろう。3年生になって、本格的に受験生になったら、茜くんともなかなか会えなくなるのかなぁ。
そう思うと、寂しい。
こんな時期から自分の進路が決まっているなんて、偉いなぁ。
……私は将来、どうするんだろう。