3秒後、きみと恋がはじまる。
「ねえねえ、特進科の有村くんと瀬川さんって付き合ってるの?」
「そういう噂あるよねー、実際どうなんだろう」
「美男美女でお似合いだけどね」
校内で、そんな噂を聞くとが多くなった。
私はあれ以来茜くんと会えていなくて、遠くに茜くんを見かけても、雪音ちゃんと一緒だから声をかけられなくて。
ふたりが付き合っているという噂を聞いては、胸が痛くなる。
「本当にこのままでいいの?」
もう何度となく聞かれたその質問に、うーん、と視線を落とす。
心配そうな顔で私を見るユリとスミレ。
いいのかって言われたら、よくないけれど。
だけど何かできるのかって言われたら、何もできない。
今まであんなに積極的に茜くんに会いに行けたのは、茜くんは優しいから、迷惑かけても許してくれる気がしてたから。
茜くんも私のこと嫌いじゃないんじゃないかって、少し自惚れていたからだ。