3秒後、きみと恋がはじまる。
「……よし、決めた!」
がばっ、と伏せていた顔をあげたわたしにはふたりは驚いて肩を揺らした。
なんたって明日は、10月8日。
茜くんが自分の言ったことを覚えているかはわからないけれど、茜くんの誕生日だ。
中学生の時の女の子たちのゴタゴタが面倒で、本当の誕生日を教えてくれない彼が、私に教えてくれた誕生日。
みんなに違う日を教えているからみんな間に受けていないけれど、私は絶対にこの日にお祝いしようと決めていた。
きっと、茜くんが言ったデタラメの誕生日なんだろうけれど。それでもいいんだ。
…これが、本当に最後だから。
最後にちゃんと好きって言って、ちゃんと振ってもらおう。
そうじゃないと私、ずっと引きずりそうだ。