3秒後、きみと恋がはじまる。
「…あ、要くん!茜くんいますか?」
勇気を出して、廊下を渡って。
久しぶりに来た茜くんのクラス。
教室の入り口にいた要くんに声をかけたら、「三好ちゃん!久しぶり!」と喜んでくれた。
「ごめん。茜、職員室に行ってるんだ」
「…あ、そうなんだ」
「ごめんね、せっかく来てくれたのに。
昼休みが終わるまでに帰ってくるかどうか…」
申し訳なさそうにそう告げる要くんに、少し残念だったけれど。
「わかった、じゃあ放課後また来るね。
ありがとう」
「うん、ごめんね」
しょんぼりと肩を落として、自分のクラスに帰る。
……会えなかった、なぁ。
たまに、一方的に見かけてはいたけれど。
茜くんと会ったのは、もう随分と前のことだった気がする。
あのポーカーフェイスを、正面から見て。
呆れた顔で、笑ってほしくて。
…茜くんに、会いたい。