3秒後、きみと恋がはじまる。
「へえ、アイツ誕生日なんだ?」
「……分かんないん、だけど」
分からない、という私の言葉に、不思議そうに首をひねる郁人くん。
茜くんの誕生日の噂を知らないらしい。
「俺がノート出しといてやるよ。
田中くん、ちょっと喋ったことあるし」
「えっ……でも悪いよ」
「いいって。
有村に負けるのは悔しいけど、俺のこと振ったんだから桃ちゃんには上手くいってほしいし」
郁人くん……。
彼の優しさに、じわりと涙が浮かぶ。
「ありがとう……!お願いします!」
「ん、頑張ってよ」
ぽん、と頭を撫でられて、私は走り出した。
教室に戻って、ケーキと自分の鞄を持って、特進科へ。