3秒後、きみと恋がはじまる。



「茜くん、助けてくれて嬉しい」


「…そう」


「今日、会えないかと思った」


「そうだっけ」


「…会えなくて、寂しかった」


「俺は静かで嬉しいけど」


「茜くん、すき」


「…俺は嫌い」



ふたりで電車を待って、そんな話をした。

茜くんの返事はいつもの通り冷たくて、だけどそれがまた少し嬉しかった。


私の乗る電車が来て、私が電車に乗ったら、茜くんはそれを見送って反対側のホームの列に並んだ。




茜くんが乗るのは違う電車なのに、私の電車を、一緒に待っててくれたんだって。

きっともう私が絡まれないように、守ってくれていたんだって。




そう気付いた瞬間、苦しいくらい、痛いくらい心臓をぎゅっと掴まれた。

さっきまで落ち込んでいた気持ちはふわふわと空に浮かんで、もう宇宙までいってしまいそうなくらい。

ついてなかった今日は、最高のラッキーデー。

電車の窓に映る自分の顔が緩んでいたから、慌てて頬を手で抑えたりして。




やっぱりきみは、魔法使いだ。



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