3秒後、きみと恋がはじまる。



そんなことを考えていると、ガチャンとお風呂場のドアが開いて。

ダボっとした部屋着に着替えた茜くんが、濡れた髪をタオルで拭きながら出てきた。




初めて見るラフな格好が、濡れた髪が、セクシーすぎて直視できない。

つい恥ずかしくなって視線を逸らしてしまうけれど、やっぱり見ていたくてチラリと視線を移したりして。





「か、乾燥機とかミルクとか、いろいろありがとう…!」


「ああ、うん」




いっぱいいっぱいの私に気付いているのかいないのか、茜くんは、どかっと私の隣に座った。

柔らかいソファーがぐん、と茜くんの座った右側に沈んで、思わずよろける。


……ち、近い!
こんなに広いソファーなのに、どうしてこんなに近くに座るの!?



「……なあ、思い出したの?」



茜くんは、真剣な顔で私の目を見る。

ち、近いよ…。

心臓が、ドキドキうるさい。



茜くんと私の髪からは同じシャンプーの匂いがして、私の着ている服からは茜くんの匂いがして。

もう、どうにかなってしまいそうだ。





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