3秒後、きみと恋がはじまる。
「…俺さ、父親があの病院で働いてて、だからたまに病院に行ってたんだけど」
茜くんは、自分の分のホットミルクを飲みながらポツリポツリとあの頃の話をしてくれた。
私も同じように、ホットミルクを飲みながらそれを聞く。
「親は2人とも俺を医者にしたかったみたいなんだけど、俺は正直あんまり興味なくて。
なんで勝手に俺の人生決められてるんだって、子供ながらに思ってた。
…でも、いつも病院に来るたびに、泣いてる女の子を見かけて」
「うん…」
「『何で私だけ苦しいの』って泣いてるの見て、絶対に、助けてあげたいって思った」
周りのみんなは、普通に外で走り回って遊んでいるのに。
私だけ発作が出るから、遊べなくて。
『桃ちゃんと遊んでも楽しくない!』なんて、言われてしまった日もあったっけ。
どうしてみんなは普通にできることが私にはできないんだろうって、悔しくていつも泣いていた。
「それでやっと、医者になりたいって思えたんだ」
「そう…だったんだ」