3秒後、きみと恋がはじまる。



中学生の時、女の子たちが茜くんの誕生日を祝う順番で喧嘩をして。
それ以来、面倒くさくなって全員に嘘の誕生日を教えているって噂の、茜くん。



私に教えてくれた誕生日は、本当の誕生日なの…?




「な、なんで…」


「何でだろうね」




期待していいのか、だめなのか。
わからなくて泣きそうになっている私に、茜くんはイタズラっぽい表情で口角を上げる。




「…お前に祝ってほしかったんじゃない」





ずるい、意地悪だ。

そんなこと言って、期待させるから。
だから私はどんどん、きみを好きになってしまうのに。


これ以上好きにさせて、どうするつもりなの…?




「期待、しちゃうよ」


「まだしてなかったの?」


「茜くん、好き…
お誕生日、おめでとう」




ぽろぽろと、溢れる涙。
ずっとずっと、これが伝えたかった。



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