3秒後、きみと恋がはじまる。



と、そんなことを考えながら眩しい茜くんを見つめているうちに、昼休みの終わるチャイムが鳴ってしまって。

私は慌てて渡り廊下を駆け抜けて、自分のクラスに戻った。



そして放課後、文化祭実行委員の集まりのある教室に移動する。
ちょっと緊張するなぁ…。



「……あれ、郁人くん!?」

「おー、桃ちゃん」



先に着いて座っていた郁人くんが、ひらひらと私に手を振ってくれる。

郁人くんも実行委員なんだ!

知ってる人がいてよかった!と思いながら、郁人くんの隣の席に座った。



「そうだ、桃ちゃん、おめでとう」



きっと、茜くんのことだろう。
あの時背中を押してくれた郁人くんは、その日の夜、『どうだった?』とメッセージをくれた。

そしてメッセージでは『おめでとう』と言ってくれたけれど、それ以来会っていなかったから、直接言われるのは初めてだ。



「ありがとう。郁人くんのおかげです」


「はは、よかったね」


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