3秒後、きみと恋がはじまる。



勉強忙しいのに、手伝わせちゃって申し訳ないなぁ。
茜くん、もう帰っちゃったかな。帰ったよね。




「…もう暗いなぁ」



窓の外の、月が綺麗な空を見ながら階段を降りて、昇降口に着くと。



「……え、」



下駄箱に寄りかかる、人影。
ふわふわの黒い髪、少し大きめの紺色のカーディガン。黒のブレザー。


見間違えるはずがない、彼が、見ていたスマホから顔を上げて私をとらえた。




「お疲れ」

「茜、くん」

「うん」



待ってて、くれたの?
嬉しくて、夢みたいで、胸がぎゅうっと、痛いくらいに締め付けた。



「茜くん、あのね」

「んー」


「プリント、書いてくれて、出しておいてくれてありがとう!」

「あー、うん」

「勉強忙しいのに、ごめんね」

「そんな時間かかってないから」


「…待っててくれて、ありがとう」

「わかったから」


「……茜くん、好き」


「またかよ」



< 236 / 265 >

この作品をシェア

pagetop