3秒後、きみと恋がはじまる。
勉強忙しいのに、手伝わせちゃって申し訳ないなぁ。
茜くん、もう帰っちゃったかな。帰ったよね。
「…もう暗いなぁ」
窓の外の、月が綺麗な空を見ながら階段を降りて、昇降口に着くと。
「……え、」
下駄箱に寄りかかる、人影。
ふわふわの黒い髪、少し大きめの紺色のカーディガン。黒のブレザー。
見間違えるはずがない、彼が、見ていたスマホから顔を上げて私をとらえた。
「お疲れ」
「茜、くん」
「うん」
待ってて、くれたの?
嬉しくて、夢みたいで、胸がぎゅうっと、痛いくらいに締め付けた。
「茜くん、あのね」
「んー」
「プリント、書いてくれて、出しておいてくれてありがとう!」
「あー、うん」
「勉強忙しいのに、ごめんね」
「そんな時間かかってないから」
「…待っててくれて、ありがとう」
「わかったから」
「……茜くん、好き」
「またかよ」