3秒後、きみと恋がはじまる。
「……茜くんだって、私が他の男の子とキスしたら嫌じゃないの?」
今更ごねたってどうにもならないし。
茜くんが王子様をやらなかったら、茜くんのクラスの劇もだめになっちゃうし。
仕方のないことだって、わかってるし。
なんなら王子様姿の茜くんが見られて嬉しいって気持ちも、もちろんあるけれど。
……でも、嫌なものは嫌なんだもん!
だって雪音ちゃんは、茜くんのことが好きで。
何より私だって、まだ茜くんとキスしたことないのに!
頬を膨らませて拗ねていると、茜くんは仕方ないなって、呆れたような顔をしてふっと笑った。
「何もないから安心しろ」
「……うん」
ああ、私って単純。
茜くんの笑顔ひとつで、全部許せちゃうなんて。