3秒後、きみと恋がはじまる。
ーー『後夜祭、始まるよー!』
司会者のそんな声が遠くに聞こえて、ため息をつく。
茜くん、もう、私のこと嫌いになっちゃったかな。
面倒くさいやつだって、思ったよね。
と。ブー、と携帯のバイブが鳴って、ユリからのメッセージを受信する。
『有村くんが桃のこと探してたから、教室にいるって言っちゃった』
「ええ……!?」
なんだろう、なんで探してるんだろう。
……別れようって、話だったらどうしよう。
ネガティブな方にばかり考えてしまって、途端に逃げてしまいたくなる。
「…いた、桃」
さらっと呼ばれた名前に、いちいち胸がときめいてしまうの、ずるい。
急いで来てくれるなんて、ずるい。
私のこと探してくれるなんて、ずるいよ、茜くん。