3秒後、きみと恋がはじまる。


ーー『後夜祭、始まるよー!』



司会者のそんな声が遠くに聞こえて、ため息をつく。

茜くん、もう、私のこと嫌いになっちゃったかな。
面倒くさいやつだって、思ったよね。



と。ブー、と携帯のバイブが鳴って、ユリからのメッセージを受信する。



『有村くんが桃のこと探してたから、教室にいるって言っちゃった』



「ええ……!?」



なんだろう、なんで探してるんだろう。
……別れようって、話だったらどうしよう。


ネガティブな方にばかり考えてしまって、途端に逃げてしまいたくなる。




「…いた、桃」



さらっと呼ばれた名前に、いちいち胸がときめいてしまうの、ずるい。


急いで来てくれるなんて、ずるい。



私のこと探してくれるなんて、ずるいよ、茜くん。



< 256 / 265 >

この作品をシェア

pagetop