3秒後、きみと恋がはじまる。



茜くんは何も言わずに、床に座っていた私の隣にしゃがむ。

2人の間の微妙な距離が、落ち着かない。




「…あのさ」



茜くんが何か言いかけたのと、私のスマホがメッセージを受信したのは同時だった。



「あ、ごめ……」



スマホのディスプレイに表示されたのは、


『櫻木 郁人:桃ちゃんごめん、後夜祭の裏方 人が足りないらしいんだけど来れる?無理だったら大丈夫だって!』



スマホを床に置いていたから、茜くんにもこのメッセージの通知は見えただろう。




「ごめん。私、行かなきゃー……」



立ち上がろうとした私の腕を掴む、茜くん。

何か言いかけて、少し目をそらして。

それからもう一度、私の方を見た。




「……行くな」





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