3秒後、きみと恋がはじまる。


「……茜、くん?」




「お前が櫻木と仲良くしてるの、ムカつく」





拗ねたような表情で。
少し目をそらしながら、小さな声で。



「え……?」



「「桃ちゃん」って呼ばれてんのも嫌だし、「郁人くん」って呼んでるのも苛つく」




待って、茜くん……?
どうしちゃったの?



「つーか俺といるんだから、俺のことだけ見ろよ」




「っ……はい、」




まっすぐに、私の目を見て。
不機嫌な顔で、可愛いことを言うから。

そのダークブラウンの瞳に、捕らわれてしまった。





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