3秒後、きみと恋がはじまる。
ーー『そして栄えあるミスターコン1位はやっぱりこの人!
文化祭では王子様姿が大人気でしたね。
成績トップのイケメン……有村 茜くん!』
後夜祭のステージからそんな声が聞こえて、慌てて茜くんを見る。
すごい!1位!
……って、そうじゃなくて。
『それでは有村くんはステージへ……え、いない?
有村くんどこですかー?』
慌てた司会者のアナウンスが、遠くの方で響いている。
「さ、探してるよ。茜くん!」
涼しい顔をしてまだ私の隣に座っている茜くんの腕を揺らすけれど、全然動じない。
「いいだろ、別に行かなくて」
「でもせっかく…」
「……何だよ、お前は2人でいたくないの」
だから、ずるいってば。
その拗ねた顔、ずるい。
「そんなの……いたい、けど」
「じゃあいいだろ」
「はい……」