3秒後、きみと恋がはじまる。
「いいな…彼氏とデートかぁ」
人のいなくなってしまった教室で1人、数学のプリントと向き合う。
私も彼氏…というか茜くんとデートしたいなぁ。
茜くんは、どんなところにデートに行くんだろう。
遊園地で遊ぶ…っていうイメージはないか。
水族館とか映画館の方が好きそう。
図書館で勉強教えてもらうのもいいなぁ。
なんて、茜くんとデートをする妄想をしながら、なかなか解けないプリントを必死に埋めて行く。
分からないながらも適当に答えを埋めて、職員室に出しに行ったけれど、まだ雨は止む気配もない。
ゲリラ豪雨のようにざあざあと降る雨に、ため息をつく。
…まあ、いっか。
駅まで割と近いし、走ればきっとすぐだ。
私はデートの予定もなくてあとは帰るだけだし。
「よし!」
昇降口の屋根から飛び出して、走ろうとした、その時。