3秒後、きみと恋がはじまる。
「…私、あんまり風邪ひかないよ」
「そう」
「身体弱くないよ」
「…そう」
「心配、してくれたの?」
「…別に」
ねえ、茜くん。
ぶっきらぼうな返事が照れ隠しかもしれないなんて、都合のいい勘違い、してもいいかなぁ。
「…本当に、大丈夫なのかよ」
少し沈黙が続いて、茜くんがぽつりと口を開いた。
どうしてそんなに心配してくれるんだろう。
「大丈夫だよ。
小学生までは喘息だったんだけど、それ以来発作もないし。今はすごく元気!」
私がそう言ったら、茜くんはやっと、優しい顔をして微笑んだ。
「そう」
さっきと同じ返事だったけれど、さっきよりずっと優しくて。
安心したようなその表情に、少し違和感を感じたけれど。
茜くんが心配してくれたことが嬉しいなんて、少し不謹慎なことを考えていたら、あっという間に駅に着いてしまった。
…残念、もっと駅が遠かったらよかったのに。
そしたら茜くんと、もっと一緒にいられたのになぁ。