3秒後、きみと恋がはじまる。
……いやいや、そんな迷惑かけられないって。
そもそも茜くんは返事くれないし、スマホだって見てるかわからないし。
私のことなんか助けに来てくれるとも思えない。
ちらり、とコンビニの外を見ると、ガラス張りの壁の向こうのおじさんと目が合ってしまって。
にやっと笑う彼に、ぞくりと背筋が凍った。
どうしよいう、頼れる人が他にいない。
これでダメだったらコンビニの人に話してどうにかしてもらおう!
ダメ元で茜くんに『いま、大丈夫?ちょっと、おじさんに後つけられてるみたいで、どうしたらいいかわかったりするかな…?』と送ってみる。
なんだかこんな夜に連絡することが申し訳なくて、回りくどい言い方になってしまった。
と、パッとすぐに既読がついたメッセージ。
珍しい、と驚いていると、すぐにその画面は着信画面に切り替わる。
『着信:有村 茜」
そんな文字に、慌てて電話に出る。
「も、もしもし!」
『今どこ?』
茜くんの声が、いつもより低いような声が、電話の通話口から聞こえる。
「え、と南駅の近くのコンビニ…」
『今行くから、10分くらいコンビニで待ってて。
絶対外には出るなよ』
「え、でも…」
『いいから。待ってろ』
それだけ言って切れた電話。
心臓が、うるさい。