3秒後、きみと恋がはじまる。
まだコンビニの外にはおじさんがいて、私は平静を装いながら飲み物を選ぶふりをして茜くんを待った。
不安な私を心配してくれているのか、茜くんからは次々とスマホにメッセージが届く。
『今向かってるから』
『念のため店員から見えるところにいて』
私は『わかった』と返して、店員さんの視界に入るところで今度はチョコレートを見ていた。
と、少ししてからコンビニのドアが開く音楽が流れて、慌てて顔を上げると、息を切らした茜くんが店に入ってきた。
「茜くん…!」
知っている人の顔を見たからか、急に緊張の糸が切れてじわりと目に涙が浮かぶ。
「ん、怖かったな」
ぽろぽろと溢れる涙を止められない私の頭を、茜くんがぽんと撫でた。
その手が大きくて、温かくて、また涙がこぼれる。
一応何か買ったほうがいいだろうということで、茜くんはホットミルクティーを買って私の手に渡した。
「くれるの?」
「飲めば」
ホットのペットボトルが指先をじわりと温めて、心が落ち着く。