3秒後、きみと恋がはじまる。
「三好はそんなことより留年回避を目標に頑張るんだな」
3人でそんな話をしていると、不意に後ろから降ってきた声。
驚いて顔を上げたら、もう次の授業のために数学の先生が来ていた。
「…へ、留年?」
「お前、前回の中間テストで赤点だっただろ。
期末も赤点だと留年だぞ」
黒いスーツに身を包んだ、メガネの、すこし髪の毛が薄くなっているおじさん先生が。
…なんか今、怖いこと言った?
「嘘でしょ。桃、大丈夫!?」
「えー、桃と一緒に3年生になりたいよ!」
途端に心配そうな顔をするユリとスミレ。
そして現実に向き合えない私。
…確かに、前回の中間テストは酷い結果だった。
あまりにも酷すぎて何点だったのかは忘れてしまったというか記憶から消してしまったけれど、赤点だった。
だけど、でも、高校生で留年なんてあんまり聞いたことないし…。
大丈夫だと、思ってた。
「ほ、本当ですか…?」
「本当だ」
ぴしゃりと言い放った先生は、チャイムと同時に「始めるぞー」と授業を始めてしまった。
私は呆然としたまま自分の席に戻る。
次に赤点とったら、留年…?