3秒後、きみと恋がはじまる。



「…あれ、三好ちゃんじゃない?」



いつもならすぐに茜くんに声を掛けるけれど。
それでも今回はためらってしまって、ドアの前で立ち止まっていた私に、要くんが気付いてくれた。


要くんが声をあげたことで、5人の視線が一斉に私に集まる。



「あ……え、と、おはよう」


どうしたらいいかわからなくて、へらりと笑ってそう言ったら。


「はは、もうおはようの時間じゃないでしょ」

なんて要くんが笑ってくれた。


ねえ、茜くん。
一瞬だけ、私をみたくせに。

つんつんと茜くんのカーディガンの裾を引っ張って、耳元で何か話しかけた雪音ちゃんに。

すぐに視線を戻してしまうんだね。



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